それは迷走





「助けてなんて、叫んでも誰も助けにこれないか・・・はぁ」


は1人、諦めモード。
トボトボ進むと、舞踏会会場のような所へたどり着いた。
何も考えずそこへ足を踏み入れると、思わず固まる。
椅子に座って何かを待ち構えている・・・骸骨がいる。


「ひぃいぃいいいぃぃぃい!!!!!」


思わず涙目で悲鳴をあげたに、骸骨達の視線が突き刺さる。
固まる。どうする


「・・・・えっと、その。ハロー」


ガチガチに発した言葉を聞くと、(聞いたかどうかは不明だが)骸骨達は一斉に立ち上がる。
は無意識に、自分の無実を証明するかのように両手を体の前にやり
マシンガン並の速さで言葉をつなぐ。


「イエ!あたしはその、怪しいものではありませぬ!!ただの通りすがりで!
 なんだか素敵な骸骨様がいらっしゃるとおもってちょっと悲鳴を発しただけで!
 その素敵な白い歯!歯磨き粉は何をお使いで?いや〜入れ歯とは無縁そうですね!
 と、ところで・・・両手にお抱えであるそのスプーンとフォークは何のためでしょうか・・・?
 あたしは見ての通り不味そうですし!!あっ、この羽根帽子だけはとらないでくださいね!」


骸骨はの演説を聞いても、尚の方へと向かってくる。
は羽根帽子を死守しようと両手で押さえつけ、ジリジリと後ずさりする。
大分後ずさりした、と思った頃、背中に冷たい感触・・・。
慌ててそれを見ると、無機質そうな冷たく硬い壁・・。


「のっ!?」


ワケの分からない声をあげて、壁に背を預けたまま座り込む
囲むように骸骨がやってくる。


「イタダキマス・・・・」


やっぱあたしを食す気か!!!いただきますなんて、律儀だな!!
先ほどまで恐れていた感情は微塵も無くなり、怒りがこみ上げてくる。

――――あれほど褒めたてたあたしを・・・。
ふつふつと怒りが煮えくくる腹の中で、不意にぐぅ〜〜という音が鳴る。と、同時に怒声。


「ふざけんなあああああああああああああああ!!!!!!!!」


ぶちキレたは、即座に立ち上がり暴力を振るう。
流石武道家タイプ。その腕はダテじゃない。
数秒経たないうちに骸骨達は無残にバラバラになっていた。
既に更生不能域。我らの様健在。


「フザけんじゃないわよ・・・全く、人が煽ててやってるって言うのに・・・
 何がいただきますよ。あたしはあんたたちなんかにいただかれませんから!」


ふんっと鼻息荒く捨てゼリフを吐き、とっとと進もうと立ち上がる。
する更生不能域と骸骨達がカタカタと不気味な音を立てて更生し始めている。
これには天下無敵唯我独尊に近いも、顔を引き攣らせている。


「なっ・・・ななななななんてしつこいの!!あたしに触れるなら事務所を通してもらわないと
 困るわ!・・・なんていってられないわ・・・!助けてーーー!!!ーーー!!」


















の悲鳴が城内に響き渡っている間、は土葬されていた。
骸骨に葬られるなんて・・・嬉しくない。それ以前に、死んでない。


・・・・でれるかも。


出来るなら、酸欠になる前にでてしまいたい。
うっかり土葬(うっかりでもないが)されて、そのまま死ぬなんて
の人生計画には入っていなかった。寧ろ、ある訳ナシ。


「ぷはっ・・・全く、ふざけてる・・・。って、もしかしてビアンカも生き埋めか。」


どうにかこうにか這い上がり、早速埋めた骸骨達に文句をはく。
墓場送りなんて、人が悪い。いや、既に人じゃないけど。
自分自身に突っ込みながら、辺りを見回すと隣にもう1つ墓があることに気づく。
そこにビアンカがいる、と気づくまで数秒いらなかった。良く働く脳に、少し感謝をした。