それは裏切り






「やぁ・・・っとみつけたわよ、親玉・・・」


ビアンカの怒りを押し殺したが宴会場になりかけている最上階に響く。
固まったのは魔物たちだけでなくもだった。
ビアンカの顔は、まさに鬼の形相。対するは今にも泣き出しそうな間抜けな顔。


「ね・・・姉さん?」
「あら!?!?よかった無事で・・・」


ビアンカは魔物しか目が無かったのか。
が声をかけた途端、ビアンカはいつもどおりの顔に戻った。
そのことにホッとしたのも束の間、ビアンカは今にも親分ゴーストに殴りかかりそうだ。


「・・・!?、いたのね!?姉さんはどうしてこんな怒ってるのよ!?」
「いたのねって・・・相変わらず失礼だね。ビアンカは埋められたんだ、まぁ僕だもケド」
「埋められた?何処に??埋立地に??」
の考えてることはよくわからない、埋められたのは墓だよ」
「え、黄泉がえり?アンタいつ死んだの?」
は非現実的なことをよく真顔で言えるね。僕らは俗に言う生き埋めってやつかな?」
「生き埋めって・・・酸素は?酸素は吸えたの??」
「どうにかね、・・・、周りがついてこれないみたいだからここらへんで話を中断するよ」


完全に周りが見えてなかった
はいち早くついてこれないビアンカたちに気づき話を中断した。優しいのだか優しくないのだか
よくわからない。




!こいつは、このレヌール城をこんな魔物だらけにしたヤツなのよ!」


ビアンカは親分ゴーストを指差しながらビシッと言った。
親分は一瞬たじろつくが、直ぐに立ち直り悪役らしい声で言う


「ふっはっは、そうだ。この私がレヌール城をモンスターの住処にした。
 文句があるヤツは前に出やがれ!コンチクショウ!!」


後者やけっぱちになってます。


「はーい」


タイマン上等・・・なんていいそうな顔で、挑戦的に瞳を闘志で燃やす少女、
親分は今度こそ顔といえぬ顔を引き攣らせ、ガチガチ震える。


「今思い出したんだ、あたし。アルカパで猫もどき助けるって約束したんだわ。
 で、猫もどき助けるための条件が、お化け退治・・・つまり親分ゴースト、アンタを成敗よ!」


は台詞を言い終えると、てりゃぁああああ!!!!と叫んでとび蹴りをかました。
さっきまで仲良く会話していたのに・・・。の変貌に従者はついていけないご様子。

喰らったとび蹴りは女性の、しかも子供のものとは思えないほど強力だった。
このパワーがあったら壁ぐらいはゆうに壊せるはずだ。



「参った?さっさとでてきなさい!」


最後にの決め台詞。
















「レヌール城に平和も戻ったし、猫もどきも助けられるし、一石二鳥ね!」


帰り道の途中、が満面の笑みでそういった。
実の妹の脅威を改めて思い知ったは無言。ビアンカは笑顔でそうね、と頷いた。


「お化け退治楽しかったわ!また、いきたいわね」