それは異世界トリップ





「よかった・・・やっと私に気づいてくれる人を見つけたわ」
「何かこの世に心残りでも?で、あたしたちを使って無念晴らし・・?
 で、用が済んだら殺すのね・・・!そんなぁあ!」


が勝手に想像をして、勝手に絶望に浸っている。
そんなは放っておいて、は話を続けていいよ、と少女にいった。


「此処じゃ落ち着いて話も出来ないわ・・・確かこの村には地下がある家がある筈よ
 そこへいきましょう!案内をしてくれる?えーっと・・・」
「僕はで、こっちは。んでスライムに、チロル」
「そう!じゃあ、お願いするわ」

















地下のある家、といったら多分自分の家だと思うので、は自分の家に向かった。
は相変わらず虚ろな目で前を見ているが、スライムがいるから大丈夫だろう。
ベラはサンタローズを眺めながら、へぇ〜とかふぅ〜んとか呟いていた。


家に着くと、相変わらずパパスはテーブルに向かって黙々と作業を進めているようだった。
は声をかけることもなく、地下への階段へ進んだ。


「ありがとう、私はエルフのベラ。実は、私たちの国が大変なの・・・
 それで、人間界に助けを求めたのだけど、誰も気づいてくれなくて・・・」
「へぇ」
「シッ、誰か来るわ・・・」


ベラが注意深く階段を見張る、するとパパスが下りてきた。


「話し声がしたので誰かいるかと思ったが・・・か。
 此処は寒いから、風邪を引かないうちにあがってくるのだぞ」
「風邪引いた人からの有難い助言ね」


ベラが幽霊じゃないとわかった途端生気を取り戻したが、パパスに
皮肉交じりの冗談を言う。パパスは苦笑して、そうだな。というと階段を上がっていった。


「やっぱり他の人には見えないみたい・・・
 ともかく、私たちの国に来てくださる?詳しい話は、ポワン様から聞いて!」


ベラがそういうと、ただの寂れた地下に、光の階段が出来る。
は互いに頷き合うと、光の階段を上り始めた。光はまるで、彼らを歓迎しているようだった。

















此処が、エルフの住む場所。
雪国を思わせる、里のような場所。
全体的に薄紫を思わせる雰囲気で、まさに”自然”を思わせるようだった。
そして今時分がいる場所は、その里のような場所の中心部らしきところにいる。


「来てくれたのね!さあ、ポアン様に会いに行きましょう」


ベラは嬉しそうに声を弾ませて、たちの後ろについた。
多分、ポアンというのは一直線上に聳える一番でかい、木で作られた建物にいるのだろう・・・
勝手に想像し、は足を進めた。その後ろにベラがつき
2M後ろくらいを、とモンスターがエルフの国をじっくり観察しながらついてきている。


ポアンとやらがいる場所へ行くのに、そう時間も手間もかからなかった。
道は至って平坦で、ただ真っ直ぐに進めばついた。

建物は木で出来ていて、ほんのり木の香りが香る。
ベラは階段を指差し「その階段を上って」といったので、は黙って従った。
階段を上ると、いかにも女王といった感じの女性が椅子に佇んでいた。


「ポワン様!おおせとの通り人間族の戦士を連れてまいりました!」


ベラがを隣に連れてきて、凛とした声で言った。
はモンスターと一緒に待機。


「ねえスライム、チロル?あたしたち宿にいってない?」
「何でー?」
「なんとなく!」
「ガウガウッ」
「おーチロル賛成か!じゃあ宿いこっかぁ〜」
「わかったヨ!」


こうしてたちはひとまず退散することになった。
は一人残されて、ポワンやベラからの質疑応答に地味に困っていた。
気づいたときには、この国を救うことを約束していたとか。