それはドワーフの洞窟







案内されてやってきたのは、ドワーフの洞窟という所。
洞窟の中は小賢しい仕掛けが一杯で、たちを悩ませた。というかはその小賢しさにキレた。
来る途中のモンスターも強かったが、洞窟内のモンスターも強かった。無論も強かった。


「何で称号が”パパスの息子”でと一緒なのよ!?」
「どうして田舎のおじちゃんはパンツ一丁で庭いじってんのよ!?」


などと、意味の分からないことを叫びながらはモンスターを倒していった。率先して。

道なりに進んでいると、ボーッとしていたの背後につちわらしが忍び寄る。
ボーッとしていたは、つちわらしに気づくことなく、延々と続く道を見つめていた。
ベラは先の戦いで傷ついたチロルとスライムにホイミを施していた。
その、背後に忍び寄るつちわらしに、最初に気づいたのはで、なりふり構わず突っ込んだ。


「危ないわよ!」


のとび蹴りが見事つちわらしに命中。つちわらしは泣きながら退散して行った。
―――ただ、命中したのはいいが、勢い余りそのまま尻餅をついたのは言うまでもない。
ベラが大丈夫?といって駆け寄る。はへーきへーきといって立ち上がり、土を払う。
がなんともいえない顔で佇んでいた。




やがてたどり着いた場所に宝箱があり、迷わずが駆け寄る。が、途中滑って転び
その物音に反応したモンスターがよってきてしまった。


「だっせぇなぁ。アイツ」


一匹のつちわらしが下劣な笑い声で笑い、転んだまま動かないを嘲る。
その言葉にピクリと反応したがゆっくりと立ち上がり、つちわらしを一睨みする。
それに一瞬臆したつちわらし。他の仲間は既に何処かへ避難済みだ。


「くそー!何よ何よ!!」


ががむしゃらにつちわらしに攻撃を仕掛ける。ポカスカ殴り、「痛いよ〜」とつちわらしが
泣きはじめた頃、の背後に忍び寄る、逃げ出した筈のつちわらし。
殴ることに精一杯のは、その背後のつちわらしに気づいていなかった。
背後のつちわらしがの頭を殴ろうとしたその瞬間、ベラが「危ない!」と声をかけるよりも早く
に駆け寄る。


「―――!?」


が振り返ると、がつちわらしの腕を掴んでいた。


「―――――・・・・?」


これまでの兄からは考えられない行動に、は戸惑った。
あのが・・・かばった!?の表情が戸惑いからいっぺん、真っ青になる
殴っていたつちわらしに最後、蹴りをいれての背中をまじまじと見る。


「――見返りを求めてるのね?」
「違う」
「――――じゃあ何の嫌がらせなの」
「嫌がらせじゃない」


がつちわらしに蹴りをいれ、振り返る。


「妹を守るのは、兄の役目だと思うが」


無表情のまま、でも頬を少しだけ赤くしたが言った。
呆気にとられる。生まれてから6年、初めて兄妹愛というのを味わった気がする。


「ありがと・・・」


守られることにあまりなれていないは、顔を背け小さく呟いた。





「カギの技法よ!」


カギの技法を、それぞれ覚え
次は氷の館ね・・・と拳を強く握り呟き、まだ見ぬ未知なる場所へ思いを馳せる。















「ココが氷の館ね・・・何か名前どおりって感じ。てゆうか寒そう」


が覚えたカギの技法を使って扉を開けている間、がチロルを撫でながら嫌そうに呟く。
構ってもらえてないスライムは、いじけたようにの頭に載っている。


「開いた。」


が相変わらずの顔で呟き、ふぅとため息をついた。
は一日に何度ため息をつくのだろうか?