それはナマイキ王子様






妖精の国を無事に春を迎えさせることができ、戻ってきたたちはパパスと共に
ラインハットに行くことになった。
服は破れてしまったため、着替えることにした。マントを被り、スカートの下にズボンをはき
最後に羽根帽子を被り、パパスと共にラインハットに向かって旅立った。






「へえ〜これがラインハットね・・・凄いわー」


ラインハットについた三人は、寄り道をせずに王の間へ向かった。
大理石の床は、歩くたび音を鳴らし、下を見れば自分の顔が映る。
は大欠伸を一つかまして、目を擦った。そういえば、なんだかんだで寝ていない。
急にどっと襲ってきた眠気にうんざりしながらも、歩くスピードを緩めなかった。

やがて王の間に着いた三人。パパスは、話があるので、お城を探険してなさい。
てきなことをいわれ、渋々城を回ることに。

適当に城を回ると、王子の部屋らしきところに着いた。
は怪しい笑みを浮かべている。普段何を考えているか分からないだが、今回は分かる。

どうせ、王子と仲良くなれば将来優位に立てる。とか思ってるんだろう。



「どもー」


が小さく挨拶をして入る。
王子は緑色の髪丁寧に切りそろえてあり、いかにも生意気そうな顔をしていた。(ビジョン)
王子はコチラに気づくと、座っていた椅子をたち、駆け寄ってきた。


「だれだ、お前は?」


ヘンリーの問いかけは明らかに、へだった。
ていうかしか見てない。


「え・・・と、だけど。」
「ほー、というのか、いい名だ。俺の名はヘンリーだ。よし・・・」


躊躇いがちに名を告げると、王子はあからさまに顔を赤くして呟いた。
後者、拳を握り、意気込む。


「――――!俺の女になれ!」
「やめたほうが身のためだよ、将来に敷かれている姿が目に鮮明に浮かんでくるよ」


が淡々とヘンリーに告げる。だが、ヘンリーは決心を曲げなかった。


「はぁん!?黙りなさい!あたしほど良い嫁はいないわよ?でもヘンリーはいや。」
「僕の何処が駄目なんだ!?」
「何でもよ!」


〔俺の女になれ宣言を〕かました。突然の告白に戸惑うどころかキレる
そして、本当に悲しそうな顔でその場に崩れる。まさに、この世の終わりという感じ。


「照れるわけないでしょ!もう知らなーい。いこっ、。」
「あぁまて!!!!!」


ヘンリーの悲痛の叫びを背中に受けながら、はプンプン怒りながらを引き連れて
ヘンリーの部屋を後にし、パパスの元へ戻ることにした。
王の間に行くと、既にパパスの姿はなく、王の話を聞くと、ヘンリーのもとへいったらしい。




「あーくそぉ!なんであんなヤツのところにいくしかないのよ!!」


ぶつくさと文句をたれながら、ラインハット城の通路進むと、パパスに会った。
パパスはの、まさに鬼の形相を見ると、引き攣った笑みを浮かべて
「王子のところへ行ってくれないか?お守りを頼まれたんだがどうやらワシは嫌われてしまったみたいだ。」
と言いにくそうに言った。その言葉にの顔は益々恐ろしくなっていった。舌打ちをすると、行くわよ。
といっての服の裾を掴んで、ずんずんと進んでいった。


「なんだ・・・!?気を直して俺と結婚する気になったのか!?」
「違う、断じて違う。」
「じゃあ、そこのお前が俺の子分になりにきたんだろ。」
「それこそ違・・・「そうよ!」


は兄を売った。
は何か言おうと口を開いたが、に口を塞がれる。
――め・・・――


「そうか、そんなにいうなら俺の子分にしてやろう。隣の部屋の宝箱に子分のしるしがあるから
 それを取ってこい!そうしたらお前を子分と認めるぞっ。」


ヘンリーが満足げに言うと、を抱き寄せた。
は―――殴ってやる!殴ってやる!!――と殺気を漲らせヘンリーを睨む。
だが、ヘンリーは怯むどころか、陽気に笑って「怒った顔も可愛いな〜」とか言っている。


「なかったけど」


ぶすっとした顔でが戻ってきた。は無駄に動くことが嫌いな人だった。
なので、今までの無駄な動きには多少ムカついたらしい。


「そんなはずないぞ!もういちどよくしらべてこい!」


はいはい・・・と渋々頷くと、はもう一度隣の部屋への扉に手をかけた。
ヘンリーは意味深な笑みを浮かべ、の背中 を見つめる。
がヘンリーのこと不思議そうに見つめていると、ヘンリーはから離れ、嬉しそうに椅子を引いた。


「さて、この椅子の下に隠し通路があるんだ。こっから逃げよう」
「あんたと?まあ―――――いいけどね。」


こういうの好きなは、相手に不服があるものの、了解した。
ヘンリーは悲しくも、が自分を認めてくれた。と勘違いしていた。
階段を下りると、そこはラインハット城のどこか。のようだった。


「わーすごーい!隠し通路とかってすきなのよね〜」


語尾にハートがつくような甘ったるい声で、夢見る少女のようなポーズで
うっとりとしている。そこにヘンリーが気取った顔をして、肩に手を乗っけるが、
無情にもその手はパチン!といい音を立てて叩かれてしまう。

そのとき――――


「こんなとこに隠し通路が・・・」
「なんだ、もう階段を見つけてしまったのか・・・ふん!つまらないやつだな。もうちょっと気を遣え。
 俺とが二人っきりなんだからな。しかし、子分のしるしは見つからなかったのだろう。子分には・・・」


ヘンリーが今度は、の腰に手を回して長々とに言うが、遮られてしまう。
ヘンリーが後ろを見ると、そこにはいかにもワルという感じの男が数人いて、紙袋を持っている。
男たちの後ろの扉はこじ開けてあり、そこから侵入してきたのだと思われる。


「何だお前らは!」


の前に躍り出て、庇うように両手を広げるも、男たちに軽々と持ち上げられ袋に入れられてしまう。
反射的にはヘンリーの手を掴んでしまい、もろとも袋の中に入れられてしまった。
は手を伸ばすが、無情にも届かず、男たちはそのままこじ開けたドアから逃げていった。
あっという間の出来事に、の伸ばした手は力なく落ちる。
―――とりあえず、父さんに知らせなきゃ!はその場を後にして、パパスの元へ急いだ。