想いが一つに重なる時








「ごめんな、こんなとこに呼び出しちゃってさ」
「いや、別にいいわよ。それで、なによ?」


申し訳なさそうに頭をかき、まだ奴隷服のままの彼、ヘンリーは砂浜に腰を下ろした。
その隣にも腰を下ろし、海を眺める。月明りが海を照らし、そしてたちを照らす。


「いや、あのさぁ・・・。えっと・・・」
「何よ!?気になるじゃない!!!」


口篭るヘンリーに叱咤すると、ヘンリーは恥ずかしそうに顔を赤らめて俯いた。

――――何?何が言いたいのこいつは・・・

本気でワケがわかない。といった感じ顔でヘンリーを見ると、ヘンリーは一つ咳払いをして
の顔を見つめる。


「俺さ、が殺されたって聞いた時、本気で悲しくて、苦しくて、死にそうだった」

「それからはさ、ずっと無気力で、ある日マリアさんが監視に鞭で打ちつけられてるのを見て
 助けて、それで牢屋に入れられて、マリアさんのお兄さんの計らいであそこから抜け出せたのは
 いいけど、これから俺、どうしよう。ってずっと考えてて」

「マリアさんの手を握って「絶対大丈夫」ってうわごとみたいに呟いてたんだけど、それって
 多分自分に向けての呟いてたって途中で気づいて・・・。」

「でも、でもが生きてるってわかって。言葉じゃ表せないほど嬉しい気持ちで一杯になって」

「それで、俺、もうを手放しちゃいけないって、そう思ったんだ。」


此処で一区切りして、ヘンリーは目を瞑り、ふぅ。とため息をつくと揺ぎ無い瞳でを見つめる。
は突然の事で固まっている。と、いうか目が点だ。


、俺はお前が好きだ。何よりも、好きだ。そして愛している。どうか、どうか俺と結婚してくれないか?」


ヘンリーに抱かれ、どうしていいかわからない。ただわかることは、胸が高鳴っていること。
初めて、異性に抱かれることを許した。――――何故?そしてこの気持ちは・・・?


「ヘ、ンリー・・・突然すぎてわけわからん!」


一人ジャンクションできてないが頭を抱えて砂浜を転がり始めた。
段々とヘンリーとの間が広がっていく中、がピタリと動作をやめて頭を抱えながら固まる。
するとは今度は逆に回転し始めて、元の場所に戻り始めた。


「つまりはアレですね、ヘンリーはあたしのこと好きなのね?」
「そうだな」
「今迄ネタでやってるかと思ってたけど、違ったのね」
「何でネタでの事好きなふりしてなきゃなんないんだよ!」


思わずつっこむヘンリーに、真顔の
はむくりと立ち上がると、砂を払うのもそこそこに、腰に手を置き偉そうに踏ん反り返る。


「大体ね〜あたしなんかよりいい人なんて沢山いるのに、何であたしがいいのよ」
「小さい頃からの事好きだったし・・・青春時代をとすごしたし・・・て、いうか
 一目惚れだしね、この気持ちに嘘も偽りも無いよ。」


ニッと微笑めば、は面食らったように瞬きを繰り返し、そして笑う。


「ヘンリー、あたしさぁ・・・ちっちゃい頃はヘンリーの事、生意気で我侭な王子なんていや!
 って思ってたけどね、一緒に過ごしてくうちにヘンリーのいいところが一杯見つかって
 マリアさんと手を繋いでるとこみたら、なんだかもやもやしてさぁ〜。」


ヘンリーの手を強引にとり、そして海に向かってダッシュする。


「これって、”好き”なのかなぁ?」


海に足が浸かり、のシスターの服が濡れる。
月明りに照らされているとヘンリーは、同じような笑みを浮かべて海に背中からダイブする。


「こんなあたしでよければ宜しくっ」
「俺こそ、これからも・・ずっと一緒だぜ?あと、シスターの服似合ってるぜ」
「そりゃどーも、お風呂はいんなきゃな〜」


空に散りばめてある無数の星を見つめながら、二人は会話する。
きっと、髪の毛は塩水でカピカピだろう。


「式は・・・ラインハットで挙げたいな〜」
「ラインハットか・・・今俺が戻ったらヤバいだろうしなぁ・・・王はデールがやってるだろうし」
「そうかしら?でもまぁ、式挙げるのはラインハットで決定よ。何が何でも」



でた、強引な嬢。
昔から変わらないその強引さに、ヘンリーは笑う。


そして修道院に戻った。二人、手を繋いで。















〔アトガキ〕
ど〜も〜、なんだか異様なくらい早く更新してます、神楽亜瑠です。
なんだか、突然ですよね、ヘンリー。(ぁ
本当は、が返事をするのはこの後のサンタローズの予定だったのですが、
それまで気まずいままじゃな〜。とか思いまして。急遽その場で返事を出すことに。
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます><これからも〔そして僕らは〕
をよろしくおねがいしますvvv   2005.8.24 神楽亜瑠