それは出会い




家に入ると、金髪の少女がちょうど階段から下りてきた。
耳の上らへんでみつあみをしており、少女の動きに合わせて活気に揺れていた。
この子もみたいなんだろうな・・・と、は勝手に予想を立てていた。


「あら、おじさまこんにちわ」
「お嬢ちゃんは一体・・・?」
「あたしの娘だよ、パパス」


今度は太めの女性が階段から下りてくる。
今日は太めの人によく会うな〜なんて場違いなことをは考えていた。
はパパスを見上げると、パパスは納得したような顔をしていた。


「あぁ、ダンカンのおかみじゃないか。どうしたんだ?」

「主人が病気になっちゃってね、この村の薬師のところに薬をとりにきていたんだよ」
「お茶を召し上がってもらおうと私がお呼びしたのですよ」


そうサンチョが言うと、3人は賑やかに談笑を始めた。
は大人の話になんてさらさら興味なんて沸かないので、外に遊びに行こうとしたのだが
先ほどの少女に肩をつつかれ、は足を止める。
違う方の手で、の服の裾を力強く握り締めている。


「大人たちの話って、長くなるから上に行かない?」
「大人って、なんで立ち話が好きなのかしらね」


が腕を組み、顔を顰めていった。
ビアンカが賛成するようにコクコクと頷きそうよねぇ〜と呟いていた。



ビアンカのつっかえつっかえの朗読劇を終えた後、ビアンカは母に呼ばれて
そそくさ帰っていった。ビアンカが帰って間も無くサンチョがスープ片手にやってきた。


「坊ちゃん、お嬢様、今日はお疲れでしょう?さぁ、このスープを飲んで
 もうお休みになるといいですよ?」
「ありがとう、サンチョ。有難く受け取るわ」


は何処から取り出したのか、黒いサングラスをかけて近くにあった椅子に腰掛けて
偉そうに踏ん反り返りながらスープを受け取った。


「ありがとう、サンチョおじさん」
「ぼぼぼぼ坊ちゃん!わたくしめのことはサンチョと呼び捨てにしてください!」


対するは、一応"おじさん"をつけてみたのだが
大袈裟に震え上がりながら、呼び捨てを求めていた。
もそれには賛成らしく、そうよそうよ。といっていた。


「じゃ、じゃあサンチョ。ありがとう、お休み」
「お休みー!」


先ほどのとは別人のような笑顔で、サンチョに手を振った。


「お休みなさいませ」


たちの飲んだスープの皿を受け取ると、忍者並みの忍び足で階段を下りていった。
その姿を見てはやはり、何かを呟いていたようだった。銀のゴムを指で弾きながら。


「サンチョはやっぱり未知なる滞在能力を秘めているようね・・・ふふふ」
、君はサンチョにただならぬ何かを感じるのかい?」